高性能亜鉛ヨウ素水溶液電池のシャトル効果低減のためのZIF-8 由来多孔質カーボン

ZIF-8 derived porous carbon to mitigate shuttle effect for high performance aqueous zinc–iodine batteries

Junwei Xu, Jinguo Wang, Linheng Ge, Junru Sun, Wenqing Ma, Manman Ren, Xiaoxia Cai, Weiliang Liu, Jinshui Yao

J. Colloid Interface Sci., 610, 98-105 (2022).

 

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0021979721021755,

https://doi.org/10.1016/j.jcis.2021.12.043,

 

 

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私たちが検討を行っている全固体型マグネシウム二次電池( マグネシウムヨウ素イオン二次電池)の一形態においては,

ヨウ素イオンの酸化によるヨウ素分子の発生を極力抑えるための積層型の固体電解質構造(以下のページの構造Aにおける層20および21)や,それでも生じてしまった場合に,正極-負極間の移動を妨げるための層(以下のページの構造Aにおける層31)を設けることで,充放電特性の向上を図っています。

https://www.lpd-lab.com/mg-battery/mg-site/1/

https://www.lpd-lab.com/mg-battery/mg-site/6/

これらは,いわゆる,ヨウ素の「シャトル効果」が起こらないようにするための構造になっていたと考えられます。

さらなる充放電特性の向上を目的として,種々電池系の「シャトル効果」と対策に関した情報検索を行っています。

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Abstract(和訳)

環境への影響が低く天然資源量の豊富な,充電式水系亜鉛ヨウ素電池 (ZIB) が,有望な電気化学エネルギー貯蔵デバイスとして浮上している。しかし、ヨウ素(分子)のシャトル効果と低い導電率は電気化学的特性の低下を引き起こし、実用化の妨げとなっている。我々は、ZIB へのヨウ素固定化のための ZIF-8 由来多孔質炭素 (ZPC) を提案する。ZPC多孔質構造と導電性の高いフレームワークにより、効率的なヨウ素の取り込みが可能になり、電子の高速伝達が可能になる。さらに、炭素骨格内に N、Zn、ZnO が存在すると、ヨウ素(分子)の化学的固定が可能となり、シャトル効果が軽減されます。したがって、ZPC/ヨウ素カソードは,100 mA /gでの100サイクル後に156 mAh/gの可逆容量を示し,1000サイクルの長期安定性を示す。この研究は、可逆的な ZIB を進化させるための新しいパラダイムを開く。」

 

(注)

この論文では,

rechargeable metal–iodine batteries (MIBs)

とされているが,

一方,rechargeable magnesium ion  batteries

に対しても,MIBという略号が使われる場合がある

(こちらのほうが,LIBに対するMIBとして,なじみやすいようには思う。)

 

「As a kind of typical MOFs, zeolitic imidazolate frameworks (ZIF-8) have been researched in recent years, Hence, we propose ZIF-8 derived porous carbon (ZPC) materials as efficient cathode hosts for Zn-I2 batteries. 」

 

↓ZIF-8 derived porous carbon (ZPC) 及び電池構造のイメージを把握するために,

    以下,論文アブストラクトの図への直接リンクを行わせていただきました。御了承よろしくお願いします。

 

図

 

https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S0021979721021755-ga1_lrg.jpg

 

 

 ↑上記の亜鉛ヨウ素電池 (ZIB) においては,上図のように正極の電気化学反応が,ヨウ素(分子)の酸化還元反応となっており,それらの酸化還元種が負極の亜鉛電極側に移動することによって,ヨウ素(分子)のシャトル効果が起こり電池性能が低下してしまう問題を,ZIF-8 derived porous carbon (ZPC)によるヨウ素トラップで解決しようとしている。

 

これに対して,私たちが検討を行っている全固体型マグネシウム二次電池( マグネシウムヨウ素二次電池)においては,ヨウ素イオン(I-)はマグネシウム負極側の第一非液体電解質層に存在するものの,それは,ヨウ素トラップ層を備えた第二非液体電解質層で正極のカーボン電極と分離されており,副反応が起こらない限り,電池系内にヨウ素(分子)は存在しないため,ヨウ素(分子)のシャトル効果の問題は生じてきません。

また,カーボン正極側の電気化学反応は,リチウムイオンのカーボンへのインターカレーションになっています。

 

そのため,いわゆる,マグネシウムヨウ素二次電池とは,電池構成構成及び起こっている電気化学反応が異なります。

マグネシウムヨウ素イオン二次電池 と呼ぶべきでしょうか。

今後,そのような呼称で統一することにします。

 

 

https://www.lpd-lab.com/mg-battery/mg-site/1/

https://www.lpd-lab.com/mg-battery/mg-site/6/

 

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