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 全固体型 多価金属二次電池に向けて No.5  

電極表面形状効果による電極の電気化学的活性化 (1)

電気化学電池用電極及びそれを用いた電池(特願2023-182334)関連

 

2023.10.27

 

金属電極の電気化学的活性化と

電極表面形状

 マグネシウム電池の負極用のマグネシウム金属で問題となるのが,マグネシウム金属表面での不動態皮膜の形成のされやすさや,マグネシウム圧延材の圧延面の電気化学的な活性の低さであった。

 

金属電極の電気化学的な活性の高さとは、電気化学的な酸化還元反応の観点から言えば,金属のイオン化によるカチオンの生成のしやすさであり,金属表面での不動態皮膜形成はそれを妨げる原因の一つとなる。この現象を、金属の腐食の観点から見れば,電気化学的な活性の高い金属ほど,腐食されやすいことになる。腐食現象の一つとしては,孔食が知られており,これは,金属表面と凹部とで酸素やイオン種等の拡散性や局所濃度の違いが起こり,局所的な電位差が生じることで金属のイオン化が促進され腐食が進行するメカニズムであり(Fig.1),金属の表面形状効果によるものとなっている.

Fig.1 金属表面における局所電位発生のイメージ.

 

電極の電気化学的な特性に対する表面形状効果は,3D電極アーキテクチャにつながる概念になると思われる。3D電極アーキテクチャでは,従来の2次元平面状の電極構造を3次元構造に拡張することで,電池容量,電池内部抵抗,安全性等を向上させることを目的の一つとしている。

 

このような電極の表面形状効果は,金属電極のみならず,他の材料系の電極においても成り立つと考えられる。


3D構造を有する金属電極の形成

レーザープロセッシング

我々は,金属の電気化学的な活性を向上させるような構造を有する金属電極形成を目指して,金属表面に微細な凹部を多数形成したマグネシウム金属電極の形成とそれを全固体型マグネシウム二次電池に用いた場合の特性に関する検討を行った。Fig.2には,レーザープロセッシングとエッチングを併用した手法により形成したマグネシウムシート電極(マグネシウム圧延材シートAZ31,0.2 mm厚)の光学顕微鏡像を示した.マグネシウムは酸化性が高いため,電極としての用途では,レーザープロセッシング後にエッチングで酸化物を除去することが必要となる.

 

Fig.2aには,レーザー直接描画によってポリイミドテープに形成した六方最密構造に配列した貫通孔(100μm径)を示した.このようなポリイミドフィルムをマスクとして,クエン酸水溶液でエッチングを行った後のマグネシウムシートの光学顕微鏡像をFig.2bに示した.電極表面から深さ方向に,略円筒状の微細な凹部が多数形成された構造となっている。

 

このようなマスクを介したエッチングを行わなくても,レーザー照射したマグネシウム表面は酸化しており,未照射部とのエッチング性の違いを利用することで,同様なパターン(Fig.2c)を得ることもできるが,この場合には未照射部のマグネシウム表面もエッチングの影響を受けることになる.

 

Fig.2 レーザープロセッシングとエッチングを併用して形成した多数の微細な凹部を有するマグネシウム電極の光学顕微鏡像

 


もし,Fig.1に示されるような,電極表面形状効果が起こり,それが電極の電気化学的な活性化に影響を及ぼすのであれば,その効果には,電極表面凹部の深さHおよび開口径D(Fig.3の模式図参照)の影響が現れることが予想される。また,局所的な拡散性や濃度の変化が起こってくるためには,ある程度以上の深さHやある程度以下の開口径Dであることが必要と考えられ,電極形状効果による電気化学的な活性の変化には臨界値があることが予想される。

 

次項では,私たちが検討を行っている全固体型マグネシウム二次電池の一態様に,Fig.2に示すような微小な凹部を有するマグネシウム電極を適用し,深さHおよび開口径Dの影響を検討した。

Fig.3 電極表面に形成した凹部の模式図。ここで、深さHは凹部の平均深さを表し,開口径Dは相当直径を表す。

注)模式図では、凹部の底部をフラットにしているが,エッチングで実際に形成される凹部の底は,完全にフラットにはならず曲面を有したものとなっている。また、エッチングで実際に形成される凹部の平面視での形状も,真円形状の貫通孔を有するマスクを用いてエッチングしたとしても、真円形状からのずれが生じてくる。