Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.7

[10]振動発電モジュール LTC3588  (2)

前ページでは, LTC3588の出力電圧Voutを最大電圧のである3.6V(通常のLEDの場合は定格電圧は3.5V前後)に設定しての検討だったが,用いたLEDの定格電圧は1.8Vであることから,図7-1のように振動発電モジュール LTC3588の出力電圧Voutを1.8Vに設定して検討を行った。この場合の,開放電圧(負荷をつながない状態での電圧)のオシロスコープの信号波形を,1Hzおよび5Hzでの振動発電の場合に対して,それぞれ図7-2および図7-3に示した。振動発電は,ブリッジダイオード整流の場合で80V発電の条件に設定した後,振動発電モジュール LTC3588(Vout=1.8設定)につないだ。

 

図7-1 振動発電モジュール LTC3588,出力電圧Vout=1.8V設定

 

図7-2 1Hz振動発電(丸形圧電板)による電圧(振動発電条件:ブリッジダイオード整流の場合に80V設定)を振動発V電モジュールLTC3588(Vout=1.8V設定)に入力した場合の出力Voutの経時変化

 

図7-3 5Hz振動発電(丸形圧電板)による電圧(振動発電条件:ブリッジダイオード整流の場合に80V設定)を振動発V電モジュールLTC3588(Vout=1.8V設定)に入力した場合の出力Voutの経時変化

 


1Hzおよび5Hzでの振動発電電圧を,振動発電モジュールLTC3588に入力し,LTC3588-5の出力VoutにLEDをつないだ場合の発光の様子を示す動画を,図6-5~6-8に示した。

 

1Hz振動発電の場合には,図6-3のVoutの変化に対応して,振動発電開始18秒後あたりからLEDの発光が始まっている。

Vout=3.6V設定の場合は約12秒後に発光が始まっていたので,Vout設定を低くしたからといって,LEDの駆動開始までの時間は短くはならないようだ。

5Hz振動発電の場合には,図6-4のVoutの変化に対応して,振動発電開始後の約2秒あたりからLEDの発光が始まっている。

 

LEDはパルス状に明るく発光するが,それ以外の時間においても微かではあるがLEDの発光が保持された(図7-4,図7-5)。

また,ブリッジダイオードのみを用いた場合には,振動とLEDのパルス状の発光のタイミングは同期していたが,動発電モジュールLTC3588につないだ場合には,Vout=1.8V設定の場合も3.6V設定の場合と同様に振動とLEDのパルス状の発光のタイミングにずれが生じた。LEDのパルス状の発光の周期は,振動周期よりも遅くなっている。振動発電モジュールLTC3588では,コンデンサーへの充電・昇圧過程があるので,振動発電のLEDのパルス状の発光と振動のタイミングにずれが生じると考えられる。

 

振動発電モジュールLTC3588につないだLEDにかかる電圧変化を,図7-6および図7-7に示した。LEDへの電圧が1.8Vに達したところでパルス状のLEDのパルス状の発光が起こっている。LEDのパルス状の発光によって,振動発電モジュールLTC3588内の47μFコンデンサーが放電し,Voutが低下することでLEDが微かにしか光らない状態となる。図7-6では,LEDのパルス発効後のVout変化に対応すると思われる減衰曲線がみられるが,この減衰に対応してLEDの発光強度も変化すると思われる。振動発電モジュールLTC3588内の47μFコンデンサーに加えてより高容量の外付けの蓄電デバイスを接続すれば,明るく発光する時間を延ばす(パルス発光の減衰を遅くする)ことはできるが,発光か開始するまでの時間が長引いてしまうと考えられる。パルス発光の周期の変化に関しては,実験での検証を予定している。また,このような発光挙動は,当然,圧電素子からの電力にも依存するので,K7520BP2,KINEZ 振動発電素子(大)-両面・大電流タイプ-およびKINEZ 振動発電素子(大)-両面・高電圧タイプ-K7520BS3で振動発電を行った場合の特性の検証を予定している。

 

図7-4 振動発電モジュール LTC3588: 1Hz 振動発電 によるLED発光

 

振動発電モジュール LTC3588: Vout=1.8V 設定

LED:  低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

コンデンサ(47uF)充電のために18secあたりからLED発光

 

図7-5   振動発電モジュール LTC3588: 5Hz 振動発電 によるLED発光

 

振動発電モジュール LTC3588: Vout=1.8V 設定

LED:  低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

コンデンサ(47uF)充電のために2secあたりからLED発光

 


図7-6 1Hz 振動発電 によるLED発光において振動発電モジュールLTC3588(Vout=1.8V設定)につないだLEDにかかる電圧変化

 

図7-7 5Hz 振動発電 によるLED発光において振動発電モジュールLTC3588(Vout=1.8V設定)につないだLEDにかかる電圧変化


図7-8 5Hz 振動発電 によるLED発光において振動発電モジュール

LTC3588(Vout=1.8V設定)につないだLEDにかかる電圧変化

(オシロの時間軸スケールの違い)

 

コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 10:12)

    コメント欄を試験的に開設しました。
    技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)