Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.11

[11]THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプ-(4)

            LED発光の振動数依存性

 前ページ(3)では,K7520BP2 振動発電素子を,表裏両側に対称に振動させた振動発電において,種々の抵抗を負荷することで測定した電流ー電圧特性および電力ー電圧特性について検討を行った。

 

K7520BP2 振動発電素子

せんごくネット通販

 

https://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/detail.php?code=EEHD-47EL

DATA_KINEZ(TM) 振動発電素子 (sengoku.co.jp)

https://www.sengoku.co.jp/item/pdf/spec_KINEZ_1_20.pdf

 

今回は,変位が±7mmの条件下で,振動数を1,5,および10HzでのLEDの発光特性における振動数の影響を検討した。実験に用いたLED素子は,低電流での発光即製の高いもので,以下のような仕様となっている。LEDを光らすのは通常3mA程度の電流が必要なので環境発電レベルの電力ではなかなか難しいが,以下のOptosupply社OSR5PA3133A-1MAは,1.8V, 1mAで光るので,エナジーハーベスティング関連の実験において非常に有用だと思う。

 

(LED素子)Optosupply社OSR5PA3133A-1MA

入手先は,例えば(というか通販小口だとここしか見つからなかった。さすが秋月,感謝),

秋月電子通商: 低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

種別:砲弾型

・色:赤

・ドミナント波長:625nm

・光度:750mcd

・順電圧:1.8V

・順電流max.:30mA

・逆電圧:5V

・許容損失max.:66mW

 

・半減角:30°

データシート:

https://akizukidenshi.com/goodsaffix/OSXXXX3133A-1MA.PDF

 

振動数1 Hzの振動発電によるLED発光の様子の動画を図11-1に,また,その時のLEDにかかる電圧変化のオシロスコープトレースを図11-2に示した。

振動数5 Hzの振動発電によるLED発光の様子の動画を図11-3に,また,その時のLEDにかかる電圧変化のオシロスコープトレースを図11-4に示した。

振動数10 Hzの振動発電によるLED発光の様子の動画を図11-5に,また,その時のLEDにかかる電圧変化のオシロスコープトレースを図11-6に示した。

 

 

何れの場合も,先のNo.5のページの円形圧電素子でのLED発光に比べて,非常に明るくLEDが光っているのがわかる(近く,発光強度で比較できるように工夫する予定)。また,LEDは,ほぼ連続的に発光していて,断続的に暗くなっている。この現象をオシロスコープでの電圧変化で見ると,LEDにかかる電圧がゼロにパルス状に落ち込んでいる周期は0.5Hzであり,これはK7520BP2 振動発電素子の変位がゼロの時点に帰属される。変位が±7mmに振れる条件では,初期のゼロ変位および+7mmから-7mmに変位する中間点ということになる。従って,断続的に暗くなる周波数は,振動数の2倍になる。このような特性は,振動数1,5,および10Hzで同様だった(振動発電モジュール LTC3588や蓄電デバイスにつないだ時の特性に興味が持たれるが,今後検討を続けていく予定)

K7520BP2 振動発電素子を今回の実験のように連続的に繰り返し変位させた場合には,変位ゼロの点以外では何らかの振動発電が起こっている状態となるので,Youtube動画に示したような連続的な発光が起こると考えられる。

 

Youtube動画では,LEDの発光の明るさが,1Hz振動発電の場合と5および10Hzの場合とでかなり違っているように見える。今回はLEDの発光強度を比較するためのセットアップが間に合わなかったが残念だったが,上記の違いはオシロスコープトレースにおいて,LED発光時にLEDにかかる電圧を比較することでも定性的に議論できるように思う。

1Hz振動発電のLED発光時の電圧は,1.68V,

5および10Hz振動発電のLED発光時の電圧は,1.72V

と違いが表れている。

今回用いたLED発光の定格電圧は1.8V,電流は1mAである(電力としては,1.8mW)。

K7520BP2 振動発電素子の振動発電で得られる電力は,先のNo.10で検討したように,最大で0.34mW(5Hz振動発電)程度であった。

1,5および10Hzの振動発電ともに,定格の電流・電圧でLEDを光らせてはいないものの,5および10Hzの振動発電の場合のほうが,図11-7示すように,LED発光のための定格電圧付近(発光ダイオードの順方向電圧,電流が流れだすダイオードの立ち上がり電位Optosupply社OSR5PA3133A-1MAでは1.8V前後)での電力が高く,そのためLEDにかかる電圧が1Hzの場合よりも高くなったと考えられる。

また,図11-7の1.8V付近の電力が振動発電と10Hz振動発電とでほぼ等しく,これによってLED発光の明るさやLEDにかかる電圧が両者で同様であったと考えられる。LEDの順方向電圧が3V定格のものであれば,5Hz振動発電のほうが有利であると思われるが,どうだろうか?

 

 


図11-1  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの1Hz振動発電によるLED発光実験。振動数1Hzで,圧電素子の両側に対称的に±7mm変位させて振動発電。

 

図11-3  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの5Hz振動発電によるLED発光実験。振動数5Hzで,圧電素子の両側に対称的に±7mm変位させて振動発電。

 

図11-5  THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの10Hz振動発電によるLED発光実験。振動数10Hzで,圧電素子の両側に対称的に±7mm変位させて振動発電。

 

図11-2   THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの1Hz振動発電によるLED発光おける電圧変化。

 

 

図11-4   THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの5Hz振動発電によるLED発光おける電圧変化。

 

 

図11-6   THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプの10Hz振動発電によるLED発光おける電圧変化。

 

 


図11-7   THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子の各振動数での電力-電圧曲線およびLED(OSR5PA3133A-1MA)の順方向電圧。

 

コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 10:13)

    コメント欄を試験的に開設しました。
    技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)