Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.17 

[11]THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプ-(10)

            LTC3588振動発電モジュールとの組み合わせ:コンデンサ容量の影響

 

TC3588振動発電モジュール(ストロベリー・リナックス社)の

 LTC3588説明書 

https://strawberry-linux.com/pub/ltc3588-1.pdf

を見ると,

Vin-GND間に外部コンデンサを追加すると,振動発電電力をより長い時間蓄えることができる,とされている。

(デフォルトのコンデンサー容量は10μFで,それが充電されVinが約4.8Vに上昇すると,後段のBuck型スイッチングレギュレーターが動作電圧を安定化しVoutに電力を供給する機構。)

また,Vout-GND間にコンデンサーを追加することで,電圧降下時間をより長くできる。ただその分,電圧が上がるまでに時間がかかる,とされている。

 

図17-1には,LTC3588振動発電モジュールへコンデンサーを追加した測定系を示した。今回のこのページ(No.17)での検討では,LEDをつながない回路で,Vout-GND間およびVin-GND間に外部コンデンサを追加した場合の影響を見た。そのうえで,次ページ(No.18)で,LEDを駆動する場合の外部コンデンサ追加の影響を検討を予定している。

 

 


図17-1   LTC3588振動発電モジュールへコンデンサーを追加した測定系。

 


 LTC3588振動発電モジュールは,Vout側(VoutーGND間)に47μFのコンデンサを有している。このため,コンデンサへの充電がない状態で,ピエゾ入力端子に振動発電電力が供給された場合, LTC35881のスイッチングレギュレーターの設定電圧になるまでに時間がかかる。図17-2にはVoutの時間変化を示したがスイッチングレギュレーターの設定電圧(1.8V)になるまでに,0.321秒の時間を要している。この時間は振動発電素子の仕様に依存し,THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプの場合には,比較的短時間だが,先のNo.7に丸形圧電素子の場合には2秒近くの時間がかかってしまう。

 

VoutーGND間に外部コンデンサを追加することで,駆動するデバイスへ供給する電力(この場合電流)を増加させることができると思われるが,その分,設定電圧に電圧が上がるまでに,より時間がかかることになる。図17-3には, LTC3588振動発電モジュールのVoutーGND間に,47, 94, 220, 470μFの外部コンデンサをつないだ場合の,Voutの時間変化を示した。外部コンデンサの容量の増加とともに,LTC35881のスイッチングレギュレーターの設定電圧である定電圧1.8Vに達するまでの時間がながくなっているのがわかる。

 

図17-4には,VoutーGND間のコンデンサ容量(内部+外部コンデンサ)とVoutが設定電圧に達するまでの時間と関係を示したが,ゼロを通るきれいな直線関係が得られた。これより,圧電素子およびその振動様式が同一の場合には,傾き0.00774(sec/μF)から,ある容量のコンデンサを追加した場合の設定電圧に達するまでの時間(秒)を推定することができる。市販のスーパーキャパシタだと,タンク型で容量が1Fといったものがあるが,そういった大容量のスーパーキャパシタをつないだ場合の設定電圧になるまでの時間を,上記の条件で計算すると,129分間と非常に長い時間がかかることになってしまう。振動発電等の環境発電用途の蓄電デバイスにおいては,容量が大きいほど良い,というような従来思考とは異なる考え方で研究開発をしていかなければならないことが示唆される。

 

 図17-2 LTC3588振動発電モジュール(1.8V設定)にTHRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプからの

5Hz振動発電電圧を入力した場合のVoutの時間変化。外部コンデンサ追加無し,内部コンデンサ47μF。

 

図17-3 VoutーGND間に外部コンデンサーを追加したLTC3588振動発電モジュール(1.8V設定)に

THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプからの5Hz振動発電電圧を入力した場合のVoutの時間変化。

 

図17-4 VoutーGND間のコンデンサ容量(内部+外部コンデンサ)とVoutが設定電圧に達するまでの時間との関係。

LTC3588振動発電モジュール(1.8V設定)にTHRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプからの

5Hz振動発電電圧を入力した場合

 

TC3588振動発電モジュールでは,LTC3588説明書 で,Vin-GND間に外部コンデンサを追加すると,振動発電電力をより長い時間蓄えることができる,とされている。Vin-GND間に種々容量の外部コンデンサを追加して,その特性の検討を行った。図17-5には, LTC3588振動発電モジュールのVout側の外部追加コンデンサを47μFとし,Vin側に種々容量の外部追加コンデンサをつないだ場合のVout電圧変化を示した。Vin側の外部追加コンデンサー容量が増えることで,外部追加コンデンサーが充電されVinが約4.8Vに上昇して後段のスイッチングレギュレーターが動作してVoutに電力を供給するまでの時間が長くなることで,Voutの電圧の過渡的な変化が無くなることが,図17-5のVin側外部コンデンサが94μFの時のオシロスコープトレースでは示されている。振動発電初期のVoutの大きな変動によって,TC3588振動発電モジュールにつなぐ電子デバイスの誤動作が心配されるような場合に有効な機能と思われる。

 

次ページ(No.18)では,LEDの発光特性に対する,外部追加コンデンサの影響について検討する予定。

 

図17-5   LTC3588振動発電モジュールのVout側の外部追加コンデンサを47μFとし,Vin側に種々容量の外部追加コンデンサをつないだ場合のVout電圧変化。LTC3588振動発電モジュール(1.8V設定)にTHRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプからの

5Hz振動発電電圧を入力した場合。

 

コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 09:59)

    コメント欄を試験的に開設しました。
    技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)