Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.6

[9]振動発電モジュール LTC3588 (1)

ストロベリー・リナックスから,LTC3588搭載の圧電素子・振動発電モジュールが販売されており,先の丸形圧電板(ストロベリー・リナックスから購入)と接続した場合の特性の測定を行った。

 

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株式会社ストロベリー・リナックス

■LTC3588 圧電素子・振動発電モジュール メーカー品番:LTC3588-1

https://strawberry-linux.com/catalog/items?code=12018

 

  LTC3588説明書 
  データシート 

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まずは,図6-2のように振動発電モジュール LTC3588の出力電圧Voutを最大電圧のである3.6Vに設定(LTC3588説明書 参照)した場合の,開放電圧(負荷をつながない状態での電圧)のオシロスコープの信号波形を,1Hzおよび5Hzでの振動発電の場合に対して,それぞれ図6-3および図6-4に示した。

振動発電モジュール LTC3588への入力の設定は,あらかじめブリッジダイオード整流で開放電圧のピークが80Vとなるような振動発電条件となるように統一して測定を行った。

 

ストロベリー・リナックス社のLTC3588説明書 では,「入力側に過電圧保護のための20Vツェナーダイオードが取り付けられている。また,入力側には,10μFのコンデンサーにブリッジダイオードで整流された電圧が印可され,その電圧が4.8Vに上昇すると,後段のBuck型スイッチングレギュレーターが動作し,Voutに電力を供給すると同時に設定した電圧に安定化する。スイッチングレギュレーターは連続で動作しておらず,必要な時に完結動作する。

負荷側から見ると,出力側のコンデンサー47μFに充電された電力が供給されているように見える。」というように解説されている。

 

図6-3の信号波形は,振動発電モジュール LTC3588のコンデンサーを完全に放電させた状態をt=0として,1Hzの振動での振動発電によるVoutの変化を見たものだが,振動発電開始から約13秒間は,振動発電モジュール LTC3588からの出力はVoutはゼロで,その後,段階的なVoutの上昇が示されている。

 

5Hzの振動での振動発電の場合の信号波形を図6-4に示したが,振動発電開始後約3秒の付近から,段階的なVoutの上昇が観測された。

 

 

今回の一連の”振動発電&蓄電用実験系の準備”は,現在研究開発を進めている,平面型マイクロスーパーキャパシタおよび多価金属ーヨウ素イオン二次電池の環境発電への応用を想定して開始したものだが,上記の検討からも,環境発電用の蓄電デバイスにおいては,その容量の大小だけが価値基準となるのではなく,想定した環境発電に最適化した容量,充放電電圧範囲,変動する発電電圧に対応可能な充電特性,サイズ,ウェアラブルデバイスにおいては薄さや柔軟性,安全性といった特性が価値基準となると考えられる。結局はアプリケーション次第ということになると思われるが,ニーズを考えた場合には見通しがきかないところがあるので,なかなかそういった蓄電デバイスの供給は企業の立場からすれば難しいのかもしれない。我々であれば,研究開発段階にあるそういった分野に対応した蓄電デバイスの提供が可能のように思った。

 

図6-1  LTC3588搭載の圧電素子・振動発電モジュール(株式会社ストロベリー・リナックス)

 

図6-2  LTC3588搭載の圧電素子・振動発電モジュールの

特性測定用セットアップ

 


図6-3  1Hz振動発電(丸形圧電板)による電圧(振動発電条件:ブリッジダイオード整流の場合に80V設定)を振動発電モジュールLTC3588に入力した場合の出力Voutの経時変化

 

図6-3  5Hz振動発電(丸形圧電板)による電圧(振動発電条件:ブリッジダイオード整流の場合に80V設定)を振動発電モジュールLTC3588に入力した場合の出力Voutの経時変化

 


1Hzおよび5Hzでの振動発電電圧を,振動発電モジュールLTC3588に入力し,LTC3588-5の出力VoutにLEDをつないだ場合の発光の様子を示す動画を,図6-5~6-8に示した。

 

1Hz振動発電の場合には,図6-3のVoutの変化に対応して,振動発電開始12秒後あたりからLEDの発光が始まっている。

5Hz振動発電の場合には,図6-4のVoutの変化に対応して,振動発電開始1秒あたりからLEDの発光が始まっている。

 LEDはパルス状に明るく発光するが,それ以外の時間においても微かではあるがLEDの発光が保持された(図6-6,図6-8)。

また,ブリッジダイオードのみを用いた場合には,振動とLEDのパルス状の発光のタイミングは同期していたが,動発電モジュールLTC3588につないだ場合には,振動とLEDのパルス状の発光のタイミングにずれが生じた。LEDのパルス状の発光の周期は,振動周期よりも遅くなっている。

 

振動発電モジュールLTC3588につないだLEDにかかる電圧変化を,図6-9および図6-10に示した。図6-9および図6-10において,LEDへの電圧が1.5Vを超えたところでパルス状の電圧上昇と同時にLEDのパルス状の発光が起こっている。

振動発電モジュールLTC3588では,コンデンサーへの充電・昇圧が起こるので,振動発電のLEDのパルス状の発光のタイミングにずれが生じると考えられる。

 

図6-5 振動発電モジュール LTC3588: 1Hz 振動発電 によるLED発光

振動発電モジュール LTC3588: Vout=3.6V 設定

LED:  低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

コンデンサ(47uF)充電のために12secあたりからLED発光

図6-6 振動発電モジュール LTC3588: 1Hz 振動発電 によるLED発光2

振動発電モジュール LTC3588: Vout=3.6V 設定

LED:  低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

コンデンサ(47uF)充電のために12secあたりからLED発光


図6-7 振動発電モジュール LTC3588: 5Hz 振動発電 によるLED発光

振動発電モジュール LTC3588: Vout=3.6V 設定

LED:  低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

コンデンサ(47uF)充電のために1secあたりからLED発光

図6-8 振動発電モジュール LTC3588: 5Hz 振動発電 によるLED発光

振動発電モジュール LTC3588: Vout=3.6V 設定

LED:  低消費3mm赤色LED 625nm 1mA OSR5PA3133A-1MA

コンデンサ(47uF)充電のために1secあたりからLED発光


図6-9 1Hz 振動発電 によるLED発光において振動発電モジュールLTC3588につないだLEDにかかる電圧変化

 

図6-10 5Hz 振動発電 によるLED発光において振動発電モジュールLTC3588につないだLEDにかかる電圧変化


コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 10:11)

    コメント欄を試験的に開設しました。
    技術情報交換等にご利用下さい。(2024.4.24)