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 全固体型 多価金属二次電池に向けて No.8

電極表面形状効果による電極の電気化学的活性化 (4)

電気化学電池用電極及びそれを用いた電池(特願2023-182334)関連

 

2023.10.29

 

マグネシウム結晶面の違い

による効果の有無の検証

 

マグネシウムの結晶構造に関しては,以下のように言われている。

 

「マグネシウムの結品構造は稠密六方格子 (hcp) であることから,室温における主すべり系は( 0001 )の底面すべりであり,・・・押出しや圧延によって製造された展伸マグネシウム合金は鋳造材に比べて変形異方性が大きいことが特徴の一つである。・・・展伸マグネシウム合金は塑性加工時に底面( 0001 )が配向し,押出し材では底面が押出し方向に平行に,また,圧延材では底面が圧延面に平行になる。」

 

https://www.lpd-lab.com/2023/10/28/マグネシウム合金az61およびaz80押出し材の低サイクル疲労挙動/

 

 マグネシウム金属電極の電気化学的な活性には,上記のようなマグネシウム金属結晶の( 0001 )面等の配向の違いが影響を及ぼすことも考えられる。

 

そこで,Fig.1に示すような,マグネシウム合金板(AZ31)の表面に対して,平行な方向に露出した電極(Fig.1a)と,マグネシウム合金板(AZ31)の表面に垂直な方向(断面方向)に露出した電極(Fig.1b)の充放電特性の比較を行い,マグネシウム金属結晶の配向が電気化学的な活性に影響を及ぼすか否かの検証を行った。この時,Fig.1bの断面の電極面が,前項の(1)~(3)の凹部の深さ方向の断面に対応したものとなっている。それらの模式図をFig.2および3に示した。

 

上記のマグネシウム金属電極の作成においては,マグネシウム板の表面の研磨(#600番→#1500番→#4000番→#10000番)を行い鏡面状にした後に,電極とするマグネシウム面以外をポリイミドテープで被覆し,露出したマグネシウム電極表面のクエン酸水溶液(2.5%)およびエタノールでのエッチングおよび洗浄をおこなった。マグネシウム板表面を均一且つ清浄にせずに電気化学的な測定を行った場合には,表面の加工痕や傷,粗さなどの影響によって,正確な電気化学的な特性の比較が行えないこともある。

 

Fig.1 マグネシウム合金板(AZ31)の(a) 表面に対して 平行な方向に露出した電極,(b) 表面に垂直な方向(断面方向)に露出した電極。

Fig.2 マグネシウム合金板(AZ31)の表面に対して平行な方向に露出した電極した電極の模式図。

(a) 平面図,(b) 断面図。

Fig.3 マグネシウム合金板(AZ31)の表面に対して垂直な方向(断面方向)に露出した電極した電極の模式図。

(a) 平面図,(b) 断面図。


マグネシウム金属板の表面に対して 平行な方向及び垂直な方向(断面方向)の電極面の充放電特性

 

Fig.4に,マグネシウム金属板の表面に対して(a)  平行な方向及び(b) 垂直な方向(断面方向)の電極を用いた全固体型マグネシウム二次電池(マグネシウムヨウ素二次電池)の充放電曲線を比較して示した。測定に用いた電池の構造は,前項No.6 のページのFig.1と同様なものとした。充放電特性の評価における,電流密度等の条件も同様とした。

 

Fig.4の充放電曲線においては,マグネシウム金属板の表面に対して(a)  平行な方向及び(b) 垂直な方向(断面方向)の電極を用いた場合とでの違いは観測されなかった。

 

両者ともに,充電から放電に切り替わった直後の鋭いスパイク状の電圧低下と,IRドロップによる充電時と放電時とでの大きな電位差を示した。

 

以上の結果から,マグネシウム金属電極の電気化学的な活性に対する,マグネシウム金属結晶の( 0001 )面等の配向の違いの効果は観測されなかった。

 

これは,前項のNo.6ページのFig.4で示した結果および議論と合致したものとなっている。

Fig.4 マグネシウム金属板の表面に対して(a)  平行な方向及び(b) 垂直な方向(断面方向)の電極を用いた全固体型マグネシウム二次電池(マグネシウムヨウ素二次電池)の

充放電曲線。電極面積:0.9 cm2,電流密度: 100 μA/ cm2

 


上記の結果からも,今回検討を行った電極に多数の微細な凹部を形成した場合に起こる電気化学的な活性向上は、マグネシウム金属結晶の( 0001 )面等の配向の違いによる効果が支配的なものではなく,前項(1)~(3)で述べた結果が示唆するような,電極表面形状効果が主要因であるものと考えられる。