Energy harvesting 環境発電&蓄電: 以下は,Webで公開されている情報を頼りに,振動発電系のセットアップを行うための忘備録です。

種々電子素子の入手先,仕様,使い方,特性,実際の計測データ等々,私同様にゼロから振動発電系を組んでみたい方がいらっしゃった場合も考えて,

できるだけわかりやすく記録しておきたいため,出典のURLとともに図表等を直リンク(ダイレクトリンク)させていただくこともあるかもしれません。

直リンク等に問題がある場合には削除いたしますので,御指摘ください。よろしくお願い申し上げます。

 

 

振動発電&蓄電用実験系の準備 No.18 

[11]THRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプ-(11)

            LTC3588振動発電モジュールとの組み合わせ:

   赤色LED発光特性へのコンデンサ容量の影響

 前ページでは,LTC3588振動発電モジュールにTHRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプからの振動発電電圧を入力し,Vout-GND間およびVin-GND間に外部コンデンサを追加した場合の,出力電圧Voutの変化を検討した。

今回は,上記の振動発電系で,赤色LED(Optosupply社,OSR5PA3133A-1MA,順方向電圧:1.8V,1mA)を光らせた場合の発光特性についての検討を行った。

 

まずは,外部コンデンサをつないだ場合の現象を見るために,図18-1のように,LTC3588振動発電モジュールの出力Vout側に,470μFのコンデンサを10個並列(4.7mF)して接続した。これに,LTC3588振動発電モジュールにTHRIVE K7520BP2 振動発電素子 (大) -両面・大電流タイプからの振動発電電圧を入力し,赤色LED(Optosupply社,OSR5PA3133A-1MA,順方向電圧:1.8V,1mA)を光らせた。振動数5Hzで,圧電素子の両側に対称的に±7mm変位させて振動発電を行った。

 

この時のLEDの発光挙動を,まずはYoutube動画で,図18-2に示した。

動画では,以下のような,振動発電によるLED発光挙動が観察された。

・動画5秒の時点から振動発電開始。

・動画10秒前後からREDの発光強度が次第に増加する。

・LEDが連続発光。

・動画35秒で振動発電停止。

・振動発電停止後も,1分間以上,微弱ではあるがLEDが光り続ける。

 

LEDが連続的に発光していることは,以下の図18-3のLED発光の時間変化のオシロスコープ観察によって確認できた。

 

図18-1   L振動発電によるLED発光実験:THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプ,  

LTC3588振動発電モジュール,470μFコンデンサ10個並列接続。

 


図18-2   振動発電によるLED発光実験:THRIVE(スライブ)  K7520BP2 振動発電素子・大電流タイプ,

LTC3588振動発電モジュール,470μFコンデンサ10個並列接続。

 

K7520BP2 振動発電素子の両側に対称的に±7mm変位させてた振動発電条件において,LTC3588振動発電モジュールの出力Vout側に並列接続する470μFのコンデンサの数を変えた場合の,コンデンサ容量の赤色LED発光強度の時間変化に及ぼす影響を検討した。

赤色LEDの発光強度(放射強度)の時間変化の測定には,フォトダイオードセンサユニット(浜松ホトニクス,C6386-01)を用いた。先のNo.16ページのフォトダイオードセンサの分光感度特性(Range M)から,赤色LEDの発光625nmでは2.208 mV/μWとなる。

 

図18-3 には, LTC3588振動発電モジュールの出力Vout側に接続したコンデンサ容量の赤色LED発光強度の時間変化に及ぼす影響を示した。フォトダイオードセンサで観測したLED発光強度(μWに返変換前の電圧値)は,オシロスコープトレースのCh2:水色で示されている。電圧0(発光強度ゼロ)のラインは,オシロスコープの一番下のラインとなっている。

 

外部コンデンサーがない場合には,ピークの発光強度は高いものの,半値幅が6ミリ秒前後の短パルス状の発光であった。

容量470μFの外部コンデンサーを加えることで,LED発光強度のピークは約1/10に低下するものの,発光減衰時間は約10倍長くなった。

また,容量470μFの外部コンデンサーを加えた時点で,パルス状の発光は完全には減衰せずに,次のパルス状発光まで,連続的な発光が持続するような発光特性となった。

 

図18-3では,さらに外部コンデンサー容量を増やしていくと,LED発光のピーク強度は次第に低下するものの,発光の減衰成分が減って,より平均化された連続的なLED発光となった。また同時に,Ch1(オレンジ)のLEDへの印可電圧の変動もほとんどなくなっている。

 

このようなLED発光の時間変化は,図18-2の動画で示される発光特性と合致したものとなっている。

 

コンデンサをつないだからといって,振動発電の電力が増える訳ではないが,

LTC3588振動発電モジュールに追加する外部コンデンサ容量によって,

パルス状の高いピーク電力を優先するのか,あるいは,ピーク電力は落ちてもより平均化された電力を得るのかを,

駆動する電子デバイスの特性に合わせて選択することになると思われる。

 

また,ある時間間隔で間欠的に駆動するようなアプリケーションであれば,LTC3588振動発電モジュールに追加する蓄電デバイス次第で,応用範囲はかなり広がるように思われる。

 

図18-2   LTC3588振動発電モジュールの出力Vout側に接続したコンデンサ容量の赤色LED発光強度の時間変化に及ぼす影響。

Ch1(オレンジ):LEDに印可された電圧,Ch2(水色):LED発光強度。

 

コメント: 1
  • #1

    管理人 (水曜日, 24 4月 2024 09:59)

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