UHF帯RFIDタグひずみセンサー,金属対応UHF帯RFIDセンサー

 

金属対応UHF帯RFIDタグセンサー

温度センシングや周囲環境の誘電率変化の指標となるセンサーコードSを出力することのできるUHF帯RFIDタグ(例えば,AVERY DENNISON SmartracのTemperature Sensor Dogbone™)のアプリケーションとしては,建物や設備の保全における異常温度や漏水の検知が考えられます。しかし,RFIDタグを金属体に直接貼付すると,金属表面からの電磁波の反射の影響を受けることで通信障害が生じてしまうという問題があります(Fig.1形状AおよびTable1での通信距離ゼロ)。

 

このため,(a)発泡体スペーサー等によって、RFIDタグと金属面との間に距離を作ることで読み取りを可能にする, (b)タグと金属面との間に軟磁性材料からなる磁性シートを設置して入射磁束の反射方向を変えて読み取りを可能にする,あるいは(c)貼付している金属自体をブースターアンテナ化して読み取りを可能にすることで,通信障害対策が取られてきました。

 

Table 1 RFIDタグの配置形状と通信距離との関係

 しかし,温度センシングの場合には,RFIDタグと金属体とが直接触れることで,IC部への熱伝導によって温度計測を行う必要があります。

 

私たちは,RFIDタグを金属体に貼付した場合に、通信距離が大幅に短くなり、通信不能になる原因を、空気中から金属表面に入射した電磁波の位相の変化の観点から考察し,固定端反射面での位相反転により入射波と反射波とが弱めあう現象と見ることができると考えました。その場合,RFIDタグのICチップが電気的に結合しているインピーダンス整合部と,金属表面とがなす角度(Fig.1のθ1)が重要になります。私たちは,インピーダンス整合部の金属体に対する配置や角度を様々に変化させたスペーサー等を工夫して最適化することにより,RFIDタグの金属体への接触による通信障害の問題を解決しました(特願2022-147460特願2022-143255)。

Fig.1  金属板に対するUHF帯RFIDタグの配置形状


UHF帯RFIDタグ歪センサー

人の体温や、心拍数、呼吸といったバイタルサインのモニタリングにおいては,計測用のデバイスの柔軟性や軽量性といった,人が身につける場合の装着負荷の低減が求められています。装着負荷の低減においては,柔軟で軽量・薄型であり,電池や外部電源を必要としない無線給電で動作するパッシブ型のセンサーであることが望まれます。センサー機能が付加されたUHF帯RFIDタグは,その要求を満たすものです。

 

私たちは,UHF帯RFIDタグ歪センサーの研究開発を行っています(特願2022-109329)。Fig.2には,その一例を示しました。RFIDタグの基本構造(ICチップ,インピーダンス整合部,アンテナ部)に,圧縮により厚さの変化が容易に生じる柔軟なゲル層を挟んで放射胴体が加えられた構造となっています。Fig.3に示すように,歪よるゲル層の厚さDの変化に応答して,リーダRSSI(Received Signal Strength Indicator,受信信号強度)値等の変化をワイヤレス・センシングすることができます。Fig.3の測定においては,歪変化の周期は,健康な成人の安静時の1分間あたりの脈拍数(60~100回/分)と同等としています。

Fig.2 UHF帯RFIDタグ歪センサー.

Fig.3 UHF帯RFIDタグセンサーの歪応答.


 

 

UHF帯RFIDタグの製作には,通常は大掛かりな大量生産装置と多大な経費が必要となり,小ロットでのカスタム品の製造を行うことは困難です。弊社ではレーザープロセッシングにより種々のユニークな特性を有したUHF帯RFIDタグを低コスト・少枚数でカスタム製造・試作できます(特願 2022-109329)。